唐王朝と草原を股にかけた壮大な物語でした。
ストーリーにハートをがっちり掴まれ、中盤までの心の昂りは私の中国ドラマ視聴歴史上NO.1で、このままラストまで突っ走ったら脈が振り切れそう・・・と思いましたが、終盤まで何とか持ちこたえました。
マンガの原作が未完?と風の噂に聞いていましたが、陰謀も暴かれ「あの人は結局どうなった?」と見失う人もなく、概ね満足なラストでした。やはり賞品の奴隷(ディリラバさん)を巡って決闘するシーン(24話)が一番脈が乱高下したピークだったでしょうか・・・
と言いつつまた1話から怒涛の勢いで見返し、再度新鮮に号泣しています。連休も相まってもうすぐ2周目もラストを迎えるという廃人モード驀進中です。
ヒロイン二人の旅が導く、根底にあるテーマ
ドラマは表面的には戦闘があって復讐があってラブがあってと色々詰め込まれていますが、根底には「民が平穏に暮らせる世の中」とは何か、そのためにどうするか、という一貫したテーマがあると感じました。李長歌(ディリラバさん)と李楽嫣(チャオルースーさん)という正反対の性格の二人のお姫様がそれぞれの過酷な旅を通してその答えを模索し切り拓いていく感じで、単純な恋愛ドラマでも復讐ドラマでもないところが深い・・・と思いました。
雲州の織物工房の女将に学ぶ、皇族の心得
そんな中、李楽嫣に多大な影響を与えたのが織物工房の柴女将で、
「天は公平なのよ、宮殿の人は民に養われて何でも手に入るけど、天下の民を背負っているも同然、一方私たちは貧しくても日々暮らしていけばいい、無理なら寝るだけ、でも陛下たちは眠れるわけがない」
李楽嫣は父である皇帝李世民の苦悩や志に気付き、また流浪の道中で出会った少年を救えなかった自分の無力を嘆いて
- 「私たちは民に生かされている」
- 「天が私を哀れむならば、天下の民と平穏を守って欲しい」
- 「民の苦難を座視できようか、父上の娘なら早く一人前に成長しないと」
と、皇族の自覚に目覚めるのでした。皇族の存在意義とかその心得とか、そういうものを明確にしていてとても分かりやすかったし、李楽嫣の成長ストーリーは無理なく、チャオルースーさんの自然な演技もあって引き込まれました(←すっかりファン)
犠牲を強いられない生き方を問う、もう一つのテーマ
後半に貫かれたもう一つのテーマは「自分のために生きる」ではないでしょうか。ドラマの中で家族を人質に取られて服従せざるを得ないとか、役職や命令が絶対で自分の感情を押し殺さないといけないとか、結盟の証として望まない婚姻を強いられ犠牲になるとか、色々な人がしがらみに縛られています。自分のために生きられなかった代表格としての奕承公主を通して、恨みの権化と変貌した悲惨な結末を示していたのではないでしょうか。
誰かを満足させるための犠牲になっていいのか?解放されて生きるために、立ち向かうことは可能ですよというメッセージを送られている気がしました。
感想
主役カップルが美しくかっこよく、男女のラブというよりは同志という側面が強くて、でも命を懸けて守りたい、という思いが不器用な形で様々表現されているのがひしひしと伝わってグッときました(一番それが出てたのが壺でヤケ酒をあおる阿詩勒隼だと思う)
あと個人的にBGMがとても印象的で、ちょっと異民族的な旋律だったり歌い方だったりがとても心に残りました。匂いで過去の思い出が蘇るとかありますが、耳から一気に異国にいざなわれるようで、音楽がこのドラマに与えていた影響は非常に大きいと感じました。
ぜひぜひ原作のマンガも読んでみたいと切に思います。