『大宋宮詞』見終わりました

実在の皇太后の一生を辿ったドラマでした。

 

サブタイトルは「愛と策謀の宮廷絵巻」

確かに宮廷には愛と策謀が渦巻いていたけれど、ヒロイン劉娥の視線の先には常に宋王朝があり、愛も策謀も超越していたように感じたので、このサブタイトルはあまりしっくりきませんでした。

ですが終盤、影のように劉娥に一途に支え尽くしてきた義弟・蘇義簡の、人を殺めることも厭わない桁違いの愛と、必殺仕事人もびっくりな策謀に「これぞ愛と策謀…」と心震えました。

趙恒と劉娥の夫婦愛については、ドラマティックな前半の趙恒と劉娥も良かったけれど、病に侵された趙恒晩年の関係性が、悲観もするけれどあるがままに受け入れようという劉娥の覚悟、器の大きさが感じられてより印象的でした。つくづく姉御っぷりが堂に入っている劉涛さんです。

 

劉娥は悪女だったのか否か

チャンネル銀河さまの解説を引用すると、

劉娥は、章献明粛(しょうけんめいしゅく)皇后という実在した人物で、侍女の子を奪って自分の子とし、垂簾聴政を行ったことなどから、漢の呂后、唐の武則天と並び「三大女主(女の君主)」とされるなど、批判的な描き方をされることが多い。監督リー・シャオホンは、そんな劉娥の生き方や功績を見直し、どんな困難にもくじけないひた向きな女性として新たな視点から描いた

のだそうです。

侍女・婉児の子を奪ったシーンは、乳母が実行役となっていて、劉娥自身は流産の直後で周囲の言われるままになっていた、という演出で、悪女要素ゼロでした。また婉児に懺悔するも拒絶され、婉児が逝去したときには死に化粧を施すなど、『孤城閉』の劉娥と比べるととても情の深い女性という印象です。悪女だったとも否とも一概に言えないですが、その後の太平の世を鑑みるにずば抜けて敏腕だったのは疑う余地ないでしょう。

 

個性的な家臣団

皇帝の趙恒は分かりやすく飛び抜けたイケメンでしたが、その家臣団はとても個性的で・・・どのドラマでも着衣がお揃いの家臣団は兎角ごちゃ混ぜになりがちな私ですが、珍しく全員見分けがつきました。ダンディー系とかお笑い系とか、テディベア系とか松重豊さん系とか、キャラ設定が明確で助かりました。

 

感想

見終わってから、『孤城閉』ではこのシーンどのように描かれていたのだっけ、と再び『孤城閉』を見てみると、やたら官僚が多くて政の話が正直つまらなかった難しかった序盤の『孤城閉』がとても生き生きとしてスっと頭に入ってきました。『大宋宮詞』で覚えた名前が登場すると「はいはいはい、あの人ですね」とまるで知り合いの消息を聞いたように嬉しくドヤってる私です。

『孤城閉』の中に「蘇易簡Su Yijian」という、『大宋宮詞』に登場した「蘇義簡」と同じ発音の名前がぽっと出てきて、おう⁇と思わずググったら、この時代に実在したのは「蘇易簡」の方でした。

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科挙にも合格した書の名手で、書道で最も基本的な道具四種(文房四宝=筆、墨、硯、紙)を論じた『文房四譜』を著した人だそうです。飲酒過多で命を落としたとかで、私が涙を絞られた「蘇義簡」の最期はフィクションだったのか・・・。

 

とは言え、宋と遼の国交関係とか、垂簾聴政とか、知識としてこの時代の舞台背景を押さえるにはもってこいのドラマだと感じました。

北宋時代は著名な書家を数多く輩出し、心の赴くままに書く卒意の書がぐぐーんと発展した時代ですが、それもこれも周渝民さんやら劉涛さん、ティファニータンさんが「澶淵の盟」を結び、王凱さんが太平の世を築き上げたからこそ、と思うと感慨深いです。

 

おまけ

北宋四大家の一人黄庭堅の卒意の書を、曲解して臨書したのがこちら↓

jiamiao.hatenablog.com

 

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