『蒼穹の昴』(2009年日中合作)見ました

「年末のお供に」と、表題のDVD、お友達に借りました。

宝塚版『蒼穹の昴』を観て、原作も読みたい♪と抜かしてたのが一年前、すっかり忘れたままこの田中裕子さん主演のドラマに突入しました。

主題歌を浜崎あゆみさんが歌っているのが何とも時代を感じます。

 

『瓔珞』や『宮廷の諍い女』など清朝時代と言えば嫉妬渦巻く女性のドロドロが醍醐味よね♪みたいな安直な認識でした。崩壊へ向かうドラマは初めてです。

ざっくりとした全体像は、清朝アヘン戦争に負けてどんどん衰退する時代の局面で、必死に西欧に蹂躙されないよう国の立て直しに奔走する人々の話、です。急に西欧の圧力を受けたわけではなく、年表を見るに『瓔珞』の時代から実はもう西欧の触手は伸びていたようです。

と、この複雑な時代の歴史的背景に対する知識が数十年以上アップデートされていない自分があれこれ言及するのはおこがましく、こんな時はトライのオンライン映像授業におまかせ・・・

www.try-it.jp

 

西太后:田中裕子さん

西太后は中国の三大悪女に名を連ねていますが、宦官の春児の目を通して見た西太后は「かわいいおばあさん」で、田中裕子さんの笑顔がまたすごくそれを裏付けているというか、ドラマ見た限りでは史上稀に見る極悪、みたいな印象はなかったと思いました。

田中裕子さんと言えば『おしん』で中国でも高名な女優さんで、日中合作をチャンスとばかりに西太后のイメージを刷新したかったのだろうか、などとその意図を邪推してしまいます。基本強欲だけれど、大のお気に入りだった春児を宮廷から解放し自由を与えるなど、人情・思いやりも垣間見えました。この最終回のシーンは一番印象的で、2回見て2回泣きました。

 

光緒帝:張博さん

光緒帝役は、『琅琊榜弐』で飛盞を演じた張博さんです。飛盞に比べて初々しさ、脆弱さを感じます。もちろん辮髪ですが特に違和感なく、やっぱり中国人は辮髪にするのに抵抗ないのだろうか。

親政を始めたがなかなかうまくいかずやる気が空回りする青さとか、失脚させられて自分の無力に打ちのめされた泣き笑いとか、幽閉されて玩具を弄ぶ精神的にやられた感じとか難しい役どころと拝見しましたが、小動物の絶望感みたいなものが伝わってきて胸がえぐられました。

気になったのが皇后で、性格の悪さがメークににじみ出ています。嫌味のエッジがキレキレで、演じるとなったら超楽しいんじゃないかなーと思いました。

 

春児:余少群さん

このドラマでダントツ好印象、好感度高かったキャラです。登場するなり自分のお宝を自ら切り落とすというショッキングな事情はあれど、素直で機転が利いてしかも努力家、また受けた恩は忘れないという玉のような男の子です。

京劇という一芸をしっかり身につけていたため、西太后に無茶振りされてパニックに陥った劇団員たちの中で一人「できます」と新人ながら見事に演じきって大喝采を浴びた一発逆転ストーリーは痛快でした。ちなみに余少群さんは越劇という伝統的な演劇を専門に学んだそうで、京劇のアクションは必見です。

宮廷から解放されたものの、故郷に帰って母の墓前で魂抜けている春児を見るに、同じころ日本できれいな服着てお月見する兄・梁文秀と妹との日中の対比が何とも言えないラストは切なかったです。

 

感想

2009年とは思えないほど、衣装やセットが重厚でチープさを感じません。日中お互いの威信・矜持をひしひしと感じます。

宮廷という狭い視野の中で、皇帝のために策を練り文字通り命を懸けてきた梁文秀が、「皇帝?もしかしていらなくね?」と覚醒する、というところが大きなターニングポイントかと思いました。この気付きは宝塚版にはなかった気がします(うろ覚え)

あと宝塚版では春児が梁文秀兄妹の日本への出航を笑顔で見守るというシーンで終わったけれど、ドラマの方は喧嘩別れが最後だったので印象がだいぶ違いました。なんにせよ原作を読まないことには始まらない!と思いましたので(1年ぶり2回目)忘れないようにリマインダーに入れておくことにします。

 

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